平成13年度 第8回 海外視察レポート
欧州都市計画事情調査団の視察を終えて

団 長  近藤正一

緊迫の中での順調なツアー 
9月23日から10月3日(11日間)の今回のツアーは、正に間隙をぬって挙行した思いであった。すなわち、9月11日のニューヨーク同時多発テロ発生と10月7日のこれに対する報復戦争勃発とのわずか26日間の、その間でのツアーであり、15名の団員皆さんが全く無事で全うできたことを、それこそ神に感謝したい。こういう云わば緊迫感を伴ったツアーであったので、特に団員一人一人にとってはより忘れがたい記憶として残ると思われる。
そのような状況のもとでのツアーとしてはすこぶる順調に、スケジュール通りに訪問や視察ができたことにも感謝したい。これにはまず、佐藤健正理事(当協会技術委員長)が作られたオリエンテーションの立てられ方が、明快でコンパクトであったことと、事前にそれら訪問先の詳細を多くに亙り資料収集され、それによって綿密な計画が練られたことにつきる。このツアーのスムーズさとかなり実のある収穫を得られたと思われるのは、佐藤理事の御力によることが多く、あらためて御礼を申し上げる。

■経路図

それについで、今回プロポーザル提案により選定された(株)日通旅行のツアー目的に対するプログラムの組み方と先方訪問先の接渉がかなり円滑に行なわれ、それが全体の日程を通してスムーズに、予定を十二分にこなすことができた。
そして15名のメンバーが、このプログラムにうまく合わせてそれぞれの責任を全うされ、しかも和気あいあいの内に親しい仲間同志となった一人一人の協力によってこのツアーが終了した。またこの間、細やかに面倒を見て頂いた添乗員の樋口さんにも御礼申し上げたい。

調査の目的と訪問先
今回のツアーは、コンパクトに訪問地域を限定し、できる限り明快な調査目的を立てることを考えた。その主旨に従い、特にイギリスにしぼって、政府のパートナーシップ・エージェンシー、開発プロジェクト企業等の訪問を通してP.F.Iの手法や、近頃では凡用性のあるP.P.Pの手法の目的と効果や、市街地活性化事業についての調査によりブレア政権下の英国の都市再生を識ることであった。
それにロンドン・パリ間を3時間で結ぶユーロスターを利用して、フランスのパリにおけるミッテラン政権の華やかな時代を終えてのちの再開発事業を調査すべく足を延ばした。
調査訪問先は、全日程の中で6ヶ所あったので、メンバー2名づつリポート作成の主筆者になっていただき、それぞれの調査内容をこれら担当者によって詳述をお願いしたので、興味のある方は後日印刷予定の報告書を参考にされたい。ここでは調査対象とした6つの訪問・視察について、目的の要旨だけに留める。
ロンドン:コイン・ストリート
テームズ河南岸に位置するコイン・ストリート一帯の大規模民間開発計画(1970年代)に対し、この地域のシンボルであったオクソタワーを救えの地元住民の反対運動に始まり、地元コミュニティの活動団体により、市を巻き込み、大ロンドン市の新しい制度制定にまで及んだ住民参加型の再開発地区。しかし、すでに開発主体は解散しており訪問調査は不可能であった。
コイン・ストリート地区
ロンドン:イングリッシュ・パートナーシップス及びグリニッジ・ミレニアム・ビレッジ
1980年代、サッチャー政権時代に推進された都市再生事業は都市開発公社などが活用されたが、その後小さな政府の実現を目途に、1993年の新法に移行し、公社の事業を継承した形で、官民のイングリッシュ・パートナーシップスという組織で、今日の地域密着した活動を展開している状況を訪問調査。
その中の代表的事業であるグリニッジ半島地区での、かの有名なミレニアム・ドームと一体の住宅地開発プロジェクトであるミレニアム・ビレッジを同時に視察。
グリニッジ・ミレニアム・ビレッジのエコロジー住宅
ロンドン:DTLR(交通・地方政府・地域省)
英国中央政府においては、1970年代、交通省、地方自治省、住宅建設省が合併、
DE(環境省)を設立、その後規模が大き過ぎるとし交通省を分離したが、1997年に再び交通省を併合、DETR(環境、交通、地域省)とし、さらに2001年6月、省庁再編により新たな組織となったDTLR(交通、地方政府、地域省)を訪問。ここで所管している、英国におけるP.F.IならびにP.P.Pの仕組み・手順とその現状について調査。
バーミンガム
英国第二の都市バーミンガム(中心100万人、30〜40分圏600万人)市庁舎を訪問。ここで、重工業中心の大不況を克服するために再開発の必要性が高まり、シティセンターを中心に新たな都市計画を考え現在も進行中であることの説明。
その上で、ブリンドレープレイス(運河沿いの中心市街地)の活性化の状況と、ハートランド(郊外の工場地帯跡地)の再整備計画の現状を視察。

バーミンガム市庁舎訪問 ブリンドレープレイス
カーディフ
英国の中で、独立心旺盛なヴェールズの首都カーディフ市庁舎において、都市の歴史・概要の説明とあともに衰退に挑戦している都市再生の現状説明ののち、特に力を入れていて、ブレア首相をして、都市再生の手本とさえ云わしめるカーディフ湾の大規模開発を視察。
カーディフ・ベイ・ビジターセンターの模型展示
パリ:SEMAPAならびにトルビアック地区
今日、パリ都市圏(イル・ド・フランス)での都心機能更新型の再開発はSEM(経済混合公社)という第三セクター的な公社が事業主体となることが多いが、パリ市でのSEMAPA(パリ整備経済混合公社)を訪問。ここで事業を行なっているパリ左岸130haのトルビアック地区を視察し、かつてのデファンス地区などの再開発と違った街区形成・景観誘導・官民の事業上のコンタクトなどの経過や今後の展開について調査。
トルビアック地区(パリ左岸地区)のSEMAPA事務所