(1)都市ネットワークの強化
EUの持続可能都市戦略の一つに、超広域スケールでの新たな地域構造や都市関係の構築がある。この戦略は、特に、各地域固有の産業を育成・強化し相互に結ぶという経済活性化をキーにして展開されている実態を知った。こうした戦略がコンパクトシティおよび環境政策と呼応し、空間開発の一環としてTENプロジェクトが進められている。それは、EU圏域で交通・情報通信・エネルギー供給等のインフラネットワークを構築するものであり、同時に広域計画のプライオリティを明確にする手だてでもある。
交通面では、空港の再配置と併せて、効果的に機能する持続可能な交通システムの再編強化、特に主要都市間の鉄道網の強化が重要なプロジェクトになっている。こうしたプロジェクトは、たとえばオランダでは「デルタメトロポール」プロジェクトとして実施中であり、ロンドンでも国際鉄道ターミナルの市内中心部への再配置や市内を横断する鉄道の整備といったかたちで展開されている。
(2)環境問題への対応
今回調査で必ずしも全容を把握したわけではないが、それぞれの国・都市・プロジェクトごとに様々な視点・方法で取り組みが進められており、また課題も抱えていることがうかがい知れた。
たとえば、オランダでは、産業廃棄物等処理の権利を地域間で売買する制度が導入されているが、この方式が必ずしも適切でないという評価も見られた。あるいはアムステルダムのエコロジカル住宅地開発地区でを視察したが、維持管理上の課題もかいま見られた。またロンドン計画においては「環境」をキーワードとし、大気汚染に対して道路・交通関係を中心に戦略を構築し、ローエミッションを図る地区を指定するなど多面的な展開が見られたが、なお試行過程にあるものも少なくないように思われる。
(3)規制緩和、民間投資誘導
伝統的に土地利用規制、建築規制が厳しいヨーロッパにおいても、近年、規制緩和とセットで民間投資を誘導する動きが活発になり手法も多様化しているように思われた。
国土の保全を重視し規制が厳しいオランダでも、土地利用計画の変更や規制緩和の圧力の高まりに対応して、より能動的に計画を周知し、助言し、協議等を通じて望ましい土地利用を誘導しながら柔軟に規制緩和する動きが強まっている。今回調査では、たとえば、市場とのミスマッチの是正の観点から創造的土地利用、効率的土地利用を重視し、従来都心部では規制されていた商業施設の立地を許可したデンハーグでの事例などを知った。
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